EMI MUSIC JAPAN(TO)(M) (2009-04-01)
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基本的には81年、大阪サンケイホールでの6日間連続公演「枝雀十八番」での録音だが、既に「落語大全」などで出ている演目については蔵出しの別音源を入れてます、と、そういうCDボックス。
なぜかCD背と裏だけは「枝雀の十八番」というタイトルになっている。よくわからん。
(1) 宿替え / 寝床
「宿替え」は88年、後期なので、かなり枝雀自身の家族を投影した描写になっている。
(2) 蛇含草 / 代書
81年の「代書」。時代が近いので、落語大全CDとほぼ同じ感じ。違うところはこの音源では「へりどめ」のところを「っっへっりどめ」と言っているが、落語大全だと「っへるるりどめ」になっているあたりか。もっと後年だと「へるるるるるるるりどめ」になるんだが。 (2009/4/7)
(3) 天神山 / くしゃみ講釈
「くしゃみ講釈」は88年。落語大全とは講釈師のくしゃみの描写に違いが。
(4) 延陽伯 / 高津の富
「延陽伯」のマクラは子供の話。これ初めて聞いた。「高津の富」の当たったときの動揺のしかたはここでは「あだっだあだった」ではなく「でゅんどんたんたたんたん」である。 (2009/4/15)
(5) 鴻池の犬 / つぼ算
「鴻池の犬」のマクラでB29の真似というのをやっている。映像が見たい。
(6) 仔猫 / 夏の医者
「夏の医者」では中段の「夏のチシャは腹にさわる」という仕込みをあえてしていないようだ。珍しいのでは。
(7) 鷺とり / 口入屋
「鷺とり」は73年9月だから襲名直前、小米時代と思われる。マクラは当時流行の「日本沈没」を引き合いに出し、笑いの中にニヒリズムが垣間見える。鬱病を発症したのもこの年だった。本編はうぐいすの件は切っていて、ニワカの件もやっていない。鷺の「ぐぇ」っていうのはこの頃から。(2009/4/25)
(8) 八五郎坊主 / くやみ
「八五郎坊主」のマクラは自分の髪型の話から。
(9) 愛宕山 / 親子酒
「愛宕山」は81年10月7日の録音。この日の録音には問題があって、たった一人空気の読めない客がいるんだよな。落語大全(2)の「くやみ」もそうなんだけど。そこが残念。
最後、97年の「親子酒」。これはかなりいい。
(10) 猫…じゃなくて貧乏神
ボーナスCDは、夫人の桂枝代 所有のテープから「猫」ってCDにも印刷されてるんだけど、「貧乏神」の間違いだね。少なくとも手元にあるやつはそう。なんでこんなことに… 録音時期は不明とのこと。音質はだいぶ悪い。
ブックレットは小佐田定雄による、枝雀ノートをもとにした笑いの理論の解説。