→ 『本で読み解く軍艦島』開催 – 廃墟賛歌 -Ruins Anthem-
新宿ジュンク堂でのトークイベント2時間。
オープロジェクトは「軍艦島全景」、「軍艦島オデッセイ(DVD)」などの軍艦島(長崎県の端島)関連の著作物を出している人たち3人。今回のイベントでは、加えて軍艦島を世界遺産にする会にも関わっている研究家の小島隆行氏が参加していた。
ぼくは概要は知っているもののほぼ予備知識なしで行ったのだが、場内にはそんな人はやはりいないようで、初心者向けな説明は無しで深いところに入っていった(それで良かったけど)。
前半は上陸レポート。今年から上陸ツアーが始まっていたのは知らなかった。初心者なもんで。どうも「ワンダーJAPAN」用のネタらしく、サクっと進行。
その後は、軍艦島関連の、オープロジェクト以外の本を紹介。
紹介されてたのは、
・軍艦島海上産業都市に住む―ビジュアルブック 水辺の生活誌 (ビジュアルブック水辺の生活誌)
・軍艦島―眠りのなかの覚醒
・1972 青春 軍艦島
・軍艦島 住み方の記憶
・軍艦島の遺産―風化する近代日本の象徴 (長崎新聞新書 (015))
・軍艦島実測調査資料集 追捕版―大正・昭和初期の近代建築群の実証的研究
・崩れゆく記憶―端島炭鉱閉山18年目の記録
など。その他、入手困難な社史のような文献も。「実測調査資料集」が軍艦島マニアにはバイブルみたいな存在らしい。「崩れゆく記憶」は軍艦島の名がタイトルに入っていないんで見落としがちだけど、相当 体を張って撮っているらしいのでおすすめとのこと。
ある時点で島自体が廃墟になった軍艦島では「建築物の風化」がリアルタイムで起こっている。そのことは、かつては産業の負の側面としてネガティブに捉えられていた(公共広告機構のコマーシャルのネタにもなった)。しかし、長い年月を経て、廃墟ブームも起きているような近年では、その風化も含めて「産業遺産」として捉え直されつつある、ということのようだ。
会場には、軍艦島に住んでいた方も来ていて、最後の質疑では現在の長崎市の上陸ツアーに対してシビアな意見を出されていた。いろいろ問題もあるようで。
オープロジェクトの人たちは、非常に真摯に軍艦島に向き合っているなという印象を受けた。
これからいろいろ読んでみようと思う。