Thoughtless Acts?: Observations on Intuitive Design

Thoughtless Acts?: Observations on Intuitive Design
Jane Fulton Suri
Chronicle Books
売り上げランキング: 11463

著者は IDEO の人。
前々から気になっていたのだが、このまえ邦訳「考えなしの行動?」が出たのですね。それで、表紙を見て…

考えなしの行動?

原書を買うことにしました。いや、邦訳の実物は見てないんでわからないですけどね。安いし邦訳でもいいと思いますけどね。
 
ほとんどが写真なんだが、要するに IDEO の人たちにが日常風景を観察する、その視点がそのまま収録されてるといっていい。後ろのキャプションを読まないと何を示しているのかわからないくらい細かいのもある。

これらの写真を見ていて思い出すのは D.A.Normanの”Psychology of Everyday Things”(邦訳「誰のためのデザイン?)で触れられていた「アフォーダンス」。もともとはジェームズ・ギブソンっていう人が生態光学という認知心理学的な学問を構築する中で生み出した概念。

僕が学生の頃研究していた Human Computer Interaction の分野でもよく言われていた概念だ。だが、哲学っぽい方向での進展はあったものの(佐々木正人の一連の著作とか)、工学としてはあまり先に進まない、というところがあったように思う。とはいえ、もう10年くらいこの世界はあまり見ていないので本当はどうだかわからんが。結局どうしたらいいんだ、というのはずっと疑問として残ったままだった。

「アフォーダンス」をエンジニアリングにとり入れてデザインにつなげるには、特殊な「眼」をもって徹底的に観察する、というところに尽きるのかな、という感じで納得できた気がする。少なくともIDEOはそれに成功してるように思えるもんね。
最後に短めの本文があるんだけど、その中で引用されているのも Norman, Gibson, あとは深澤直人の著作。

原書は文庫版くらいのサイズ。で、厚い表紙の紫の部分に丸く切れ込みが入ってる。この本のデザイン自体が親指をそこに当てるのをアフォードしてるわけだ。