くう・ねる・のぐそ

くう・ねる・のぐそ―自然に「愛」のお返しを
伊沢 正名
山と溪谷社
売り上げランキング: 113825

この頃は周りの方から「これを読め」とお勧めをいただくこともありまして、「くう・ねる・のぐそ」もそのうちの一冊だったのです。
 
著者は、典型的な全共闘世代。高校をドロップアウト、学生運動の流れで自然保護運動を行うも解散、その後キノコ撮影→菌類観察と野糞に没頭(その辺で真の自然?に目覚めたらしい)。したがって、70年代にスタートした野糞も、当初は屎尿処理施設建設反対運動への批判としての行動であって、「イデオロギーとしての野糞」だったわけだ。しかし、記録を少しずつつけていくにつれて、普段の生活の中で如何にトイレでしないで野糞するか、に軸足が移っていったようだ。つまり「野糞のための野糞」だ。

この本の大部分は恐らくその記録をもとに書かれていて、半生と野糞の変遷。
これが…あんまりおもしろくない…。単調なのだ。都会でも普通に野糞をしているという事実だけを考えると相当凄いので、凄さがもう一つ伝わらないのは単に筆力の問題と思うのだが。自然に返すということを主張しているけど、客観性も科学的視点も欠けているから説得力がないし。

近年の仕事である “野糞後の経過観察レポート” に関しては、なかなか興味深かった。実は、巻末に袋とじがついていて、それはオールカラーの野糞経過観察写真なのだ。もちろん脱糞直後もあり、これ以上無いというぐらい見事な巻きグソが鎮座している。これは一見の価値がある。

が、ちょっと読むのしんどかった。
 
この本を勧めてくれたあなた、この本買いなさいよ!それで袋とじ開けてよーく見たらいいんだよ!  ったくよぉ…

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